めかりる

カエル、変える、買える、帰る、考える

新入社員の「タイプ」を Google トレンドで調べてみたら

11 日の「ニュース女子」で、新入社員タイプというものが前ふりビデオで取りあげられてたんだけど、思ったより、大喜利だった。4 月なので、新入社員の参考になる話を、みたいなコーナー。

これは、毎年 3 月に、日本生産性本部の「職業のあり方研究会」が発表している「新入社員の特徴や就職・採用環境の動向などについて」の調査研究らしい。すごい昔からやってるのね。ざっと一覧を眺めていると、ステレオタイプな新入社員像と流行語。前年に流行した言葉で新入社員のタイプを表現する、しばりゲーの様相。

日本生産性本部には、JCSI(日本版顧客満足度指数)の調査もやっているサービス産業生産性協議会もあるみたい。「顧客満足度○年連続第 1 位」っていう、あれだ。

新入社員の特徴は、目立って変わるものでもないので、ステレオタイプの若者像になってる。買い手市場、リーマンショック、就活期間の短縮や開始時期の解禁など、就職・採用環境の動向の影響と流行語とのマッチングが選定されるキモ。ただし、いいニュースのおかげで取り上げられた言葉は少なく、それを「新入社員のタイプ」に名づけているところに悪意を感じる。

どうせなので、時代を象徴する、とは、言い過ぎで、多分に無理やり感がある、雑なネーミングセンスの元を Google トレンド で調べてみた、長いエントリー。検索期間の指定は、「2004 年 - 現在」。2002 年以前の新入社員タイプのネーミングは、別組織が行っていたので、それ以降。2002 年は、「抱き枕」だったよ。

新入社員のタイプとその検索ボリューム

f:id:slashnsk:20160413232918p:plain

解説コメントは、各年度の発表資料から抜粋。

2016 年度「ドローン型」

強い風(就職活動日程や経済状況などのめまぐるしい変化)にあおられたが、なんとか自律飛行を保ち、目標地点に着地(希望の内定を確保)できた者が多かった。

「目標地点に着地でき」なかった者がニュースになってましたね。Google トレンドで検索ボリュームを見てみると、時期的にその方面で、2015 年 5 月に検索ボリューム 100。上のグラフが、「ドローン」の結果。

2015 年度「消せるボールペン型」

不用意に熱を入れる(熱血指導する)と、色(個性)が消えてしまったり、使い勝手の良さから酷使しすぎると、インクが切れてしまう(離職してしまう)。

2014 年 4 月に検索ボリューム 100。このころ、消せるボールペンの悪用を報じるニュースが多かった。PILOT のフリクションボールは、2007 年に発売してるので、悪目立ちしたせいで、ネーミングされてるみたい。冷ますとちゃんと色が復活するんだよ!

2014 年度「自動ブレーキ型」

何事も安全運転の傾向がある。人を傷つけない安心感はあるが、どこか馬力不足との声も。

運転に安心感があるのはとってもいいことだと思うけど。馬力不足の声はどこからでてきたのか謎。搭載車種によるんじゃないのかしら。まずは、2014 年中に、トラックに搭載することを政策にしてたくらいなのに。2013 年 12 月に検索ボリューム 100。年末に話題になった言葉はつよい。

2013 年度「ロボット掃除機型」

段差(プレッシャー)に弱く、たまに行方不明になったり、裏返しになってもがき続けたりすることもある。

「ロボット掃除機」は、2012 年の 12 月に検索ボリューム 81。その後も、12 月のたびに 80 を超える、年末大掃除機械化部隊の一員。でも、どう考えても、普段の活躍が期待されているのに、大掃除に駆りだされるのは適材不適所。ちなみに、「ルンバ」は、同 2012 年の 12 月に検索ボリューム 100。

2012 年は、就職活動期間が 2 カ月遅くなった年。「家事など時間の短縮に役立つ」との理由で。ルンバの発売から、わずか 4 カ月。効率的な選び方。

2012 年度「奇跡の一本松型」

先輩の胸を借りる(接木)などしながらその個性や能力(種子や穂) を育てて行けば、やがてはどんな部署でもやっていける(移植)だろうし、他の仲間とつながって大きく育っていく(松原)だろう。

発表後の 2012 年の 9 月に検索ボリューム 89、2013 年の 3 月に検索ボリューム 100。震災後の発表なので、前向きな解説だった。

2011 年度「(はやぶさ型)」

最初は音信不通になったり、制御不能になったりでハラハラさせられるが、長い目で見れば期待した成果をあげることができるだろう。

当初の発表は、震災の影響もあり、「新卒新入社員を採用する企業へのアピールと、新入社員と就職活動中の学生への応援のメッセージ」に代替していた模様。2012 年の発表資料に経緯の記載がある。

はやぶさにしてみれば、「長い目で見てもらわなくても、発射時から世界初の成果を連発してますよ」といったところ。日本生産性本部さんは、科学技術にはあまり興味がないのかな。地球に帰還した 2010 年の 6 月に検索ボリューム 100。

2010 年度「ETC型」

性急に関係を築こうとすると直前まで心の「バー」が開かないので、スピードの出し過ぎにご用心。

発表月の 2009 年の 3 月に検索ボリューム 100。スピードの出し過ぎは、心の「バー」云々でなく、ダメでしょう。同じく、飲酒運転(飲みニケーション)もダメ。

2009 年度「エコバッグ型」

小さくたためて便利だが、使うときには大きく広げる(育成する)必要がある。

秋にリーマンショック。検索ボリューム 100 を記録しているのは、2007 年 7 月で、その後、目立った上下はない。なぜこの年がエコバッグなのか、理由がわからない。

2008 年度「カーリング型」

自分の将来は自分の努力で切り開いていくという、本人の意志(石)が大事になろう。

2006 年の 2 月に検索ボリューム 100、2010 年の 2 月に 87、2014 年の 2 月に検索ボリューム 81。うん、冬季五輪だね。

2007 年度「デイトレーダー型」

売り手市場だっただけに、早期転職が予想される。

2004 年 9 月に 検索ボリューム 100。2006 年度は、「厳しい就職戦線」と解説されているが、打ってかわって「売り手市場」に。「一人前の働き手になるにはそれなりの時間がかかることも」とあるのだけれど、実際、「デイトレーダー」としてやっていけるのなら、「新入社員」どころじゃないよね。

2006 年度「ブログ型」

繊細な感受性とブログ的なネットワーク力に優れるが、パソコンに語るだけに止まる傾向もある。

2005 年以降も伸びているクエリ。期間指定を「2006 年 3 月まで」にすると、2005 年 10 月に 100、2006 年 1 月に 98 だった。選定の理由は、解説を読んでも分からない。

2005 年度「発光ダイオード型」

電流を通す(=ちゃんと指導する)と、きれいに光る(=いい仕事をする)が、決して熱くはならない(=冷めている)。

このうまいこと言った感。2004 年 4 月に検索ボリューム 100。当時、どこかにまだ「電流を通」さない社会があったのかしらね。中村修二先生のノーベル物理学賞の受賞で、2014 年にも、検索ボリューム 64 に急増。

2004 年度「ネットオークション型」

ブランド名やアピールに釣られて高値で落札したものの、入手後にアテが外れることもある。

2004 年前半の検索ボリュームは、70 ~ 80 くらい。Google トレンドでは、2004 年からのデータしかないので、2003 年がどうだったかはわからない。「アテが外れ」たのは、新入社員なのか企業なのか。

2003 年度「カメラ付きケータイ型」

中高年者にとって使いこなしきれない側面もある。

カメラ付き携帯電話は、2001 年にツーカーから発売。2002 年に au と docomo(iショット)も発売を開始。中高年にとって使いこなせないという、「消せるボールペン型」や「ロボット掃除機型」にも通じる若者観全開な感じ。開発したのは、新入社員じゃないんだから、使いこなせないのは、中高年の方の問題だ。

「カメラ付きケータイ」で検索すると、「検索ボリュームが十分でないためグラフを表示できません。」になる。「カメラ付き携帯電話」をクエリにすると、2004 年 4 月に検索ボリューム 100。

まとめ

ということで、以上。けっこう楽しめた。

ゼロ年代はじめころは皮肉が聞いてていいなと。でも、近年は、発表自体が話題になるようなネーミングになってる気がする。物事の一面だけの浅い理解での名づけが目立ってしまって。つまり、つまらなくなった。

ニュース女子は、おもしろいので好き。