めかりる

カエル、変える、買える、帰る、考える

「国会議事録、ごっそり『消滅』」はデマ。「会議録は、現在作成中」ですよ

けっこう刺激的なタイトルのニュースが目につきまして。

これは、あんまり国会議事録のサイトを見たことがない人かなと思ったのです。が、コメント欄が盛り上がっているようなので、いっちょかみしておこうかなと。

結論から書くと、デマです。

「消滅」 *1 ではなく、「現在作成中」なんです。

国会議事録の「消滅」はあり得るのか

そのニュースがこちら。

◆衆議院予算委員会の議事録は「森友」分が証人喚問を除いて消滅
2月17日に始めて森友学園問題を取り上げた質疑は民進党の福島伸享議員によるもの。これ以降の展開を大きく揺るがした安倍首相の「私や妻が関係していたということになれば、これはもうまさに総理大臣も国会議員も辞めるということははっきり申し上げておきたい(動画25:53から)」という発言が行われた質疑でもあります。

これ以降衆議院で予算委員会が開催されたのは2月20日、23日、24日、27日で、
17日と合わせて5日分の議事録が消滅しています。

「関わっていたなら総理大臣も国会議員も辞める」発言を含む国会議事録、ごっそり「消滅」 | BUZZAP!(バザップ!)

各ニュースサイトにも同じものが流れています。

なんだか、あたかも政府が都合の悪いことを消去したように読めます。お門違いもいいとこで。少し調べるだけで、誇大妄想であることが分かると思うんですけどね。

衆議院での現在の取り扱い

衆議院は、ご丁寧に PDF でニュースを流してます。で、当該日のニュースにはこうあります。

f:id:slashnsk:20170405115805p:plain

第193回国会2月17日予算委員会ニュース

そうです。あくまで「現在作成中」なんです。

「消滅」したのではなく、まだ公開されていないんです。

実際、それまで存在していたものを消去したのかどうかは検証することはできませんでした。が、建前上、は「作成中」なので、いつかは公開されます。

過去の事例

予算委員会の会議録議事情報一覧 の第 192 回以前に欠けている号数はありません。

ここで「こんな強硬は、今回が初めて」との反論は成り立ちません。理由は簡単で、公開が遅れることは珍しくないのです。

以下、過去の「予算委員会の会議録議事情報一覧」のリンク先は、Internet Archive のものです。

たとえば、2016 年の第 190 回。今とほぼ同じころ 4/4 の 予算委員会の会議録議事情報一覧 がこちら。

f:id:slashnsk:20170405115820p:plain

第 6 号と第 8 号がありませんよね?

ところが、6/6 の 予算委員会の会議録議事情報一覧 では、補完されています。

そんなもんなんです。

ちなみに、3/4 の段階では、第 2 号、第 3 号も欠けてました。が、こちらは、一月後の 4/4 に補完されてます。第 17 号も公開が遅れました。

2016 年、第 190 回常会におけるインターネットアーカイブの時系列 *2 はこう。

過去の事例からも、欠番イコール「消滅」ではないことが分かります。そのうち公開されるわけですね。

「消滅」どころか公開もされていない、と。

ニュースサイトにも一言

エキサイトニュースでのカテゴリを見ると、この buzzap というサイトは、「 IT 総合」に分類されているみたいです。ライブドアも同様。でも、このニュースは、あきらかにカテゴリーエラー。しかも、デマ。

IT 関連で信頼性のあるニュースを配信しているからって、別の分野でもそうとは限りませんよ。ニュースサイトを標榜するのなら、このへんはしっかりやっていただきたいところ。影響力、ってあるよね。

わたしも、エキサイトニュースが初見でした。

ついでに、この buzzap、魚拓をとってやろうとおもったのですが、robots.txt で拒否してました。えー。

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*1:「削除」ではなく、「消滅」が正しい表記でした。はてブでの指摘を受けて、15:50 頃、全文のカッコつき「削除」を「消滅」に、類似の表現を適宜、修正しました。kotobank に、削除 : 文章などの一部をけずってのぞくこと消滅 : 消えてなくなること。それまで存在していたものがなくなってしまうこと、とあるのを参考にしました。

*2:14 時頃、時系列部分ほか、多少追記しました。