2019 年 3 月 21 日から 5 月 6 日までの期間で、中之島香雪美術館で行われる 特別展「明恵の夢と高山寺」にて、『鳥獣人物戯画』全 4 巻の出展されることが発表されました。
あまり聞き馴染みのない美術館ですが、それもそのはず、今年 2018 年 3 月に開館したばかりで、現在も自前コレクションのオープニング展示真っ最中。そして、初の特別展となるのが、本「明恵の夢と高山寺」展というわけです。
画像は、「るるぶ大阪ベスト '19 」 p.102 の中之島フェスティバルシティ紹介のページ。美術館は、ツインタワーの西棟 4 階。
香雪というのは、朝日新聞創業者である故村山龍平氏の号で、もともと神戸にある香雪美術館の分館みたいな美術館らしいです。
『鳥獣人物戯画』の先年の全面修理は、朝日新聞文化財団の文化財修理助成事業によってなされたものでしたので、今回の出展はそのお礼みたいな感じなんですかね。
つい先月、中之島にあるホテルに泊まったばかりだったので、ついでにこの美術館の下見にも行ってればなー。
2019「鳥獣戯画」展について
『鳥獣人物戯画』の展示は毎年 1 度だけ
国宝であることは言わずもがな、その中でも人気知名度ともに抜きんでている「鳥獣戯画」ですが、実物にお目にかかる機会は毎年 1 度だけです。
近年の出展実績はご覧のとおり。
- 2007 年、開館記念特別展 鳥獣戯画がやってきた! ―国宝『鳥獣人物戯画絵巻』の全貌― サントリー美術館
- ( 2009 年から 2012 年まで全面修理)
- 2014 年、国宝 鳥獣戯画と高山寺 | 京都国立博物館 | Kyoto National Museum
- 2015 年、東京国立博物館 - 展示 日本の考古・特別展(平成館) 特別展「鳥獣戯画─京都 高山寺の至宝─」
- 2016 年、九州国立博物館 | 特別展『京都 高山寺と明恵上人 - 特別公開 鳥獣戯画 - 』
- 2017 年、東京国立博物館 - 展示 日本美術(本館) 平成29年 新指定 国宝・重要文化財 (東博断簡のみ)
- 2018 年、東京国立博物館 - 催し物 イベント 博物館に初もうで (東博断簡のみ)
律儀に毎年どこかに出展はされてはいるものの、全巻公開となるともう 3 年ぶりになるんですね。
前期後期の展示替えに注意
「鳥獣戯画」の全巻展示にはパターンがあって、全 4 巻を一度に見られるものの前記後期で場面替えの場合と、期ごとに 2 巻ずつ展示される場合です。
2019 年の中之島香雪美術館では、2 巻づつの展示になるもよう。ということは、お目当ての巻がいつ展示されているかを調べてからおでかけしなければなりません。
おそらく多くの方が見たいであろうカエルやウサギが活躍する甲巻は、前期 3/21 ~ 4/14 の展示です。
とはいえ、後期の見どころもいくつか。全面修理の報告の中の新発見として話題になった、料紙の裏表に書かれていたとされる巻は丙巻で、後期展示です。裏表の根拠となった染みを探してみるもよし。また、丙巻末には、摸本などから推測される原初の甲巻末尾と同じヘビの登場が描かれていて、いまの形になる前のより古い甲巻をモチーフにしたのでは、なんて考えるもよし。
村山コレクションで見たいもの
明恵(高弁)さんは、『鳥獣人物戯画』が伝わる京都栂尾山高山寺の中興の祖とされる鎌倉時代のお坊さんです。夢日記を書いていて、これが『夢記(ゆめのき)』としてけっこうな分量が残っていて、一部が重要文化財になっていたり、木の上に座っている様子が描かれた絵が国宝になっていたりします。あと、犬好きです。
『夢記』は、14 年京都、15 年東京、16 年福岡でも出展されていましたが、いずれも高山寺所蔵の物でした。村山コレクションの『夢記』は、けっこうレアなんじゃないですかね。この村山コレクション『夢記』をもとに高山寺の所蔵品を展示する、というのが本展の骨子みたいです。
あとはもちろんプレスリリースにあった『戯画図巻』(江戸時代)ですよ。「鳥獣戯画」のフォロワーは成立後間もない時期から結構いたようで、摸本や同じく鳥獣に題材をとった絵が少なからず残っています。が、カエルやウサギだけでなく、明恵上人までもが題材になっているメタ的なものは見たことがありません。わたし、気になります!
アメリカで 2019 年に公開される失われた鳥獣戯画
「鳥獣戯画」うんちくなどなど
「鳥獣戯画」本編だけでなく「断簡」や「摸本」を含めて、鳥獣戯画甲巻についてのややマニアックなエントリーをいくつか書いてます。読んでいただけるとケロケロ。
ここ 2、3 年で買ったムック本の鳥獣戯画グッズレビュー
いちおう本だけど、完全におまけめあてで買いますよね。
SOU・SOU のテキスタイルと鳥獣戯画とのコラボレーションバッグ
「ちょっとコーヒーでも」でも「そこのコンビニまで」でも、なにしろかんたんに使えるやつ。
上品な青が墨の世界にマッチした逸品。
肩ひもは 110cm 弱あって斜め掛けに十分。間口も広くホックで留める。下部が三角に降り曲がっているのが見えるけれどこれがマチの役割になって、おもったより物を入れても型崩れしません。横(最長部) 37cm × 縦 27cm。A4 サイズもバッチリ。
ちょっと色褪せてきたけれど、まだまだお気に入り。
国宝紹介本「国宝への誘い」の豆皿
国宝の中でも誰もがなにかで一度は目にしたことがありそうな有名どころを紹介した本であっても、おまけに選ばれるのはやっぱりカエルさんたちなわけで。
薬味やら刺身醤油やら。このサイズの皿ってあと回しにしたままだったので、鳥獣戯画プリントの豆皿とくれば即購入でした。
段ボール紙でしっかり保護してありました。直径 8cm 強、高さ 1.5cm。裏の高山寺の印に紙継ぎの跡もあって芸が細かいこと。いまのところプリントが剥げたり割れそうになったりの気配はない。
週刊版の国宝本創刊号にパスポートケース
保険証入れに使ってます。お薬手帳とか診察券とかもいっしょに仕舞えて便利。
つくりはチャチな感じが否めないものの。保険証入れなんで、まぁ。
ちなみに「鳥獣戯画」特集は 6 号です。
絶賛後悔中の買えなかったもの
郵便局の「 海洋堂美術作品立体図鑑『鳥獣戯画』フレーム切手セット 」。鳥獣戯画フィギュアの最高峰だと思う。ガチャガチャで似た感じの集めたし、ってやせ我慢してて結局後悔するという。
チラシだけ、だいじに。